共に食ってく?

主に映画を食べます

ハートフル飯テロの爆弾『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

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監督

ジョン・ファブロー

キャスト

ジョン・ファブロー

ソフィア・ベルガラ

ジョン・レグイザモ

スカーレット・ヨハンソン

ダスティン・ホフマン

ロバート・ダウニー・Jr.

製作

ジョン・ファブロー

セルゲイ・ベスパロフ

 

あらすじ

ロサンゼルスの有名レストランで総料理長を務めるカールは、口うるさいオーナーや自分の料理を酷評する評論家とケンカして店を辞めてしまう。心配する元妻イネスの提案で、息子パーシーを連れて故郷のマイアミを訪れたカールは、そこで食べたキューバサンドイッチの美味しさに驚き、フードトラックでサンドイッチの移動販売をすることを思いつく。カールはイネスやパーシー、仲間たちの協力を得て、マイアミからニューオリンズ、ロサンゼルスへと旅を続けていく。(映画.com様より引用)

 

 

感想

監督は『アイアンマン』でハッピーを演じたジョン・ファブロー。そして監督であるジョン・ファブロー自らが主人公を演じ、自らが料理をこなしている。余談だが本作にはロバート・ダウニーJr.もチョイ役で出演している。

 

人生の分岐点。辛いとき苦しいとき死にたくなったときでも何か希望が、救いが、きっかけがあれば閉ざされた闇に微かな光が刺す場合もある。いや指してくれる。それは次第に大きくなり、やがて全身を包み込んでくれるだろう。

今回紹介する『シェフ 三ツ星フードトラックはじめました』はまさに暗闇に堕ちた主人公が一つの転機により光を取り戻していく内容になっていて私は凄く好きだ。まさしく人生という感じがする。

 

シェフ自らが考案した料理をホテルのオーナーに拒否され、自信作では無い料理を評論家に振る舞い酷評されてしまい、評論家とシェフの間のいざこざのはずがやがてSNSを通じて世界的に広まり、窮地に追い込まれる。

しかし、元妻、そして息子やその他大勢の力を借りてキューバサンドのフードトラックを始めてドン底から這い上がる姿をハートフルに描いた作品だ。

 

まず何が辛いか、それは自分が築き上げた実績を他人に潰されるのだ。自分でならまだしも他人だ。自身が掴んだものを否定されれば最早何が正しくて何が間違いか、それさえ不安になる。

しかし料理だけは裏切らない。自分で肯定し、積み上げてきたものが実力として確かにここある。なので本作で描かれるシェフの料理に対する熱い思いが随所で語られ視聴者に投げかけグッと心に迫ってくる。

 

何より本作。登場人物どれもが人情に溢れていて見ていて凄く気持ちが良い。シェフと元妻と息子の関係性は少し複雑だが決して居心地の悪い関係ではなく、悩みや相談を聞いてくれる良き仲といった形。他にも友人やその他大勢がシェフに温かい手を差し伸べてくれ助けてくれる様子はザ・ハートフル一辺倒といった具合だ。なので序盤のシェフが窮地に追い込まれる場面も含めラストまで何一つ嫌な気持ちにはならないのも魅力の一つと言っていいだろう。

 


この作品、今や日常には欠かせない媒体と言っても等しいSNS。そのSNSの拡散力をテーマに織り込んであるのが印象深い。そもそもシェフのクビの発端がブロガーとのSNSのやりとりと拡散によって招かれた悲劇であり、少しの誤った発言により瞬く間に煙が上がり炎上していく様は今ならではの怖さやメッセージ性がある。そしてネットに流れる情報の信用度は大きいことがこの作品では随所に描かれている。

 


しかし、そんな悲劇だけでは終わらせず、フードトラックを始めた際の集客の方法としてSNSを活用しているのも実に面白い。その瞬く間に拡散される口コミやバズりを利用した集客は実にイマドキ風である。そして、それを上手く活用しているのがイマドキの息子の方なので、料理一択でネットやSNSに関して無頓着なシェフである父親との掛け合いもジェネレーションギャップを感じさせて面白く、それによってまた更に深くなっていく親子関係も見ていて微笑ましくなる。

 


言うまでも無いが本作に登場する料理の数々、そのどれもが超絶美味しそうなのが最大の魅力である。食材を切る工程から、調理や焼きや盛り付けに至るまでとことん過程を見せ付けることで体をすこぶる刺激させられる。

これほどまでに何故映像から匂いは感じられないのかと無茶苦茶な事を思って地団駄踏む映画もそうそう無い。それほど本作に登場する料理はどれも美味しそうなのだ。食指が動かされまくりである。そして本作に登場するキー料理のキューバサンド。鑑賞中も見終わったあとも必ずキューバサンドが食べたくなること請け合いだ。

 


人生もまた様々なスパイスを加え、味付けされ完成されていく料理のようなものなのかもしれない。

ということで『シェフ 三ツ星フードトラック』是非落ち込んだときに見てほしいし是非誰かと見て欲しいと思う。この映画で何かが変わるとは思わないが、何か見つけられたら筆者は心から嬉しく思う。

 

さてキューバサンド食べるか、、、f:id:tomoguizonbi:20191123192219j:image