共に食ってく?

主に映画を食べます

拷問するもん!『拷問男』

f:id:tomoguizonbi:20190601154932j:image

監督
クリス・サン
主演
ビル・ベイカ

マイケル・トムソン

アリーラ・ジャクエス

あらすじ

シングルファーザーのデレクは、ある日幼い一人娘を無残にも殺されてしまう。復讐を誓ったデレクは、犯人を見つけ出し自宅の地下室に監禁し、娘の復讐のためにあらゆる拷問を行い、犯人に想像を絶する苦しみを与え続ける。一人の優しい父親が、残忍な本性を徐々に表していく・・・。

 

 

感想

私だ。今回紹介するのは映画のタイトルから連想する通りの内容ながら一味付け加えたことであまりにヘビィな痛快リベンジムービーになっている『拷問男』という作品だ。『変態村』や『殺戮職人芝刈男』などと通ずる案件が来てからあらすじを見て5秒で決めたようなタイトルだね。

 

この手の映画は拷問される側、つまり被害者の悲痛な叫びや残酷さに思わず目を背けたくなり、被害者に同情してしまうが本作は前置きに拷問する側である加害者の悲惨で重いストーリーを語ることで、どちらかと言うと加害者側に感情移入してしまう作品になっている。

シングルファーザーで元妻との関係も客観的に見れば悪く、仕事の状況も上手く行かない頭を悩ます事態が続いていく中で、たった一人の愛する娘が何者かに殺されるというトドメまで刺されるのだ。これがあまりに胸が痛む。

 

悲しみに暮れ、絶望していた最中に犯人の目星を付けた主人公が犯人を捉えて家の地下で拘束し閉じ込め、正義の拷問ギルティタイムが幕を開ける。

ここからが凄い。どうやったらそんな事を思い付くのかと疑問の念が頭をよぎるくらい残酷で悲惨な因果応報な数々の拷問パーリーピーポー俗称拷問パリピの誕生だ。

カッターで切り刻むは序の口、指を切り落として痛いの痛いの飛んでけ〜(指)や皮膚にボルトを通して固定し、ぐりぐり回すなど思い付く限りのありとあらゆる手法を使い犯人を人間の形をした肉の何かへと変えていき、隙があれば犯人にお説教をかます極悪非道の正義。

私的お気に入り拷問が、パイプを肛門に突っ込み、そこに有刺鉄線を通してパイプだけを抜き腸をズタズタにしちゃおうぜ拷問。聞いただけで胃がキリキリと痛むぜなんだそれ。

しかし、あの重く辛い前置きによりやられて当然と皮肉にも主人公側の気持ちを察してしまい、一概に拷問を受けている側が可愛そうと思えない。

 

拷問を繰り返すうちに犯人の苦痛に満ちた表情が、主人公にとって快楽へと変わっていき徐々にタガが外れていく姿も見ていて本当に辛くなる。

また、娘を殺した犯人の正体もかなり最悪かつ理不尽で、その正体のせいで見方が変わってくるのだから恐ろしい。

「正義と大罪は紙一重」とよく聞くフレーズだが、本作は正しくそれに振り切っていると思う。

 

ということで『拷問男』一見すると痛々しいだけの内容に思えるが(まあ実際痛々しいが)実は風刺も強く描かれた社会派なストーリーとなっており、その重い内容が突き刺さる痛快リベンジ拷問ホラーの良作だ。悪い奴はもれなくジャスティス拷問。これに尽きる。

それにしてもジャケットの「イダイヨォー…イダイヨオ……」が軽すぎる。

f:id:tomoguizonbi:20190601163332j:image