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あなたの側にある人形は普通の人形?それとも…… 『HEIDI』

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監督

Daniel Ray

脚本

Daniel Ray

キャスト

Sumuel Brian

Joei Fulco

Joei Bell

Eva Falana

 Elizabeth Callahan

 

あらすじ

アルバイトで部屋の片付けをすることになった男性2人組は、屋根裏部屋で気味の悪い人形を発見する。それ以来、彼らの周囲で奇妙な出来事が起き始める…。

 

 

 

感想 

私だ。突然だが皆さんの家には人形はあるだろうか?可愛いバービー人形だったりシルバニアファミリーだったりゲームセンターで取った人形だったりとジャンルや存在理由は様々だと思う。

しかし、時にそのような人形がふと怖く思えたことはないだろうか?私はある。

実家に和風な人形が数体置いてあるのだが、やはり今でも、特に幼少期は暗闇の中でその人形を見ると本能的に怖く思えてしまった。手や足が動く訳でも無いのに、その存在感ある怖さに自分が人形ように動かなくなってしまう。

今回はそんなそこに居るだけで怖いPOV人形ホラー『HEIDI』を紹介していこうと思う。

 

 

これまで数々の人形ホラー映画が出てきた。殺人鬼の魂が取り憑いた殺人人形を描く『チャイルド・プレイ』現存する呪いの人形の恐怖を描いた『アナベル』人形たちが意思を持って襲ってくる『パペット・マスター』など個性豊かに色んな恐怖を見せてきてくれた。

本作は謂わゆる呪われた人形による恐怖を描いた作品だ。

人形を扱ったホラー映画の人形はどれも特徴的な顔をしており、見た目から完全に恐怖へと落とし込んでいくビジュアルだが、本作の『HEIDI』に登場する人形は割と普通の見た目。何処にでも売っているメルちゃん人形のような見た目をしている。(まあ、目が無いが)

 

とある高校生2人組がアルバイトで家の掃除を行っていたところ、屋根裏部屋で「HEIDI」という名前の人形を発見。面白半分でふざけてその人形を蹴ったりして遊んで以来、身の回りで人形が纏わりつき、次々と奇怪な現象に襲われる。俺たちはどうなっちまうんだ〜というのが本作の大まかな内容である。

 

特に豪快にガラスが割れたり物が吹っ飛ぶなどの心霊現象が起きたり、暗闇から急に幽霊が現れたり、突然ナイフを持って襲ってくる訳でも無いのに怖い。超怖い。

その理由としては、屋根裏部屋で人形を見つけるが何故か家に居たり、気味が悪くなり捨てようが、インターホンが鳴り出てみると玄関に戻っていたり、先程までと状態が変わっていたり、勝手にボールが転がってきたりと決して派手に見せる訳では無くちょっとした演出によって「ただそこに居る」というだけで恐怖をふんだんに突き付けてくるのだ。それはもう本当に怖い。

 

 

更にPOVなのでその緊張感と臨場感たるや尋常では無く、自分がまさに人形を観察しているような感覚に陥ったり、一人称視点をうまく利用したカメラワークでのまたただそこに人形が居るだけで恐怖。という表現が恐怖心を加速させる。まあ、それがPOV映画の良いところである。

 

 

また話が進むに連れ、メルちゃんみたいなホラー人形による地味で陰湿で悪質な嫌がらせや恐怖が強くなっていき、いよいよ犠牲者まで出てくるようになってくる。それはメルちゃんみたいな人形を手荒く扱ったものに降ってくる地獄。

しかもそれが普通では無い。「やられたらやり返す。倍返しだ!」の如く身も凍るような地獄が待っているのだ。

 

決して凝りに凝ってお金の掛かった作りでは無く、ただそこに人形が居るだけなのに地味で陰湿ながらも普通では無い現象でジワジワと不穏さや不気味さを開拓していく作り人間が本能的に怖いと思える心理を突いた様々な演出でここまで怖く仕上げられるのは本当に凄い。お金を掛けず、ただの人形だけで何処まで視聴者に恐怖を与えられるかに徹底しており、もうそれに振り切っている。

さり気ない音や電気を消せば広がる暗闇など、ごく当たり前なのにそのような演出が出るだけでもう悪寒が走るくらいには本作は怖く仕上がっている。

 

 

ということで『HEIDI』もっと派手なポルターガイストや霊がガンガン攻めてくる人形ホラーが見たい人やPOVが苦手な方には少し肩透かしかもしれないが、人形本来の可愛い姿?から可視化されて見えるような不気味さを体感出来る作品には間違いない。呪いの人形の“呪い”の部分に関しては説明がある訳で無く、経緯も特に説明されないが、理由が分からず脅かされるのも恐怖をまた一つ上乗せしているのかもしれない。

 

やはりホラーと人形の相性は良い。人形の歴史を辿って結びつく由来はそもそも悍ましく、日本にも藁人形に五寸釘をガンガン打つ呪いなんてのもあるくらいだ。やはりホラーと人形は切っても切れない縁なのかもしれない。

 

尚こちらの作品は国内には来ておらず、鑑賞するには海外から取り寄せるしか手は無いが、この手の人形ホラーが見たい方は是非。

貴方の側にある人形は普通の人形?それとも……。

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